我々の仲間に熊沢さんというアマチュアカメラマンがいるのですがなんと大判カメラで富士山を撮影して20年以上にもなるベテランです。
その熊沢さんのカメラの所有機はカメラ雑誌で少しだけ知っていました。リンホフなんたらかんたらと聞いて
「へえ!すごいカメラ使っているな」
と思いましたがその時は特に欲しいと言うより現在のペンタックス67で満足で特に興味を持ちませんでした。
ところが熊沢さんの撮影仲間の渡辺さんが影響を受けてしまいました。今風に言えば中古カメラウィルスに感染してしまったとでも言っておきましょうか。
ウィルスにかかった以上は風邪になった時もそうですがそれに対する薬を投与しなければません。
その渡辺さんはあの忘れもしない1996年6月19日に東京中野にあるフジヤカメラでWISTA45SPを購入してきました。
なぜ忘れもしない6月19日かと申しますと、その日は近年まれにみる夕焼けだったのです。当然富士山と絡んだ夕焼けの素晴らしい写真は各富士山関連のフォトコンテストで
入選等していました。
当時渡辺さんは富士山撮影に行くかどうか迷った挙句に薬を投与して購入したのでした。その夜渡辺さんから電話がありました。今日大判カメラを買ったよと報告がありましたが
夕焼けについては当然知っており非常に悔やんでおりました。渡辺さんにとって良くも悪くも思い出の1日だったでしょう。
さてその渡辺さんの大判カメラを見せていただく機会がありました。
後で話が出てきますが、そのうちそのカメラが私自身の愛機になるとは当然想像すらしていませんでした(笑)
ある日渡辺さんのご自宅でそのカメラのお披露目会がありました。参加者は撮影仲間の私と石川、渡辺の3人で集合です。
私「すごいね!!」
渡辺さん嬉しそうに「まあね!」
石川「なかなかかっこいいね!」
私「へえ!6X9ホルダーも買ったんだ!!」
石川「大判のレンズってこんなに小さいんだ!」
するとここで取扱い講習会が始まりました
渡辺「この部分はね、こうやってこのようにするんだよ」
もう私と石川さんは興味津々で話が盛り上がりました。
後日一緒に富士山を撮影する機会がありました。私は中判カメラ、一緒に撮影に行った石川さんも中判、渡辺さんだけ大判カメラでした。
当然のごとく2人の目はその大判カメラに注がれました。
私と石川さんは口を揃えるように
二人「撮影する前の操作結構あるんだなあ」と一言。
あおり、乾布かぶってのピント合わせ、そして単体露出計での露出測光などなど
するとまもなく
渡辺「ジーカシャ、ジーカシャ」
とシャッターの音がした。
二人「あ、もう撮影したんだ?」
と聞くと、そうじゃないらしい。後でわかるのだが撮影前の確認だとか・・・
でもなんかめんどくさそうけど、今までにない新鮮なものを見た気がした。結果としてすでに私と石川さんもウィルスに感染している
ことを知る由もありませんでした。
後日写真の上がりを見せていただいたのですが、4X5サイズはやっぱりでかい。6X7サイズは6センチX7センチなのに対して
4X5サイズは同じXといってもインチサイズだ。センチにして10センチX12.5センチである。
大げさかもしれないが、そのまま飾ることだってできるくらいのサイズである。ピントもルーペを使わなくてもよくわかる。
6X7のサイズも最初大きくて感動したが4X5サイズをみると6X7サイズが35mm版に見えるほどだ。
「欲しいな、欲しいかも、でも欲しい、欲しい、ああ欲しい」
・・・・・い、いかん、感染してしまっている。でも我慢我慢。
そのうち、数ヶ月もたたないで渡辺さんから連絡があった。なんだかリンホフの話をしている。それでいて何だか満足な雰囲気が漂ってくるではないか。
よく話を聞けば買っちゃったらしい!あのカメラの王様であるリンホフマスターテヒニカ45を・・・・
私はもうびっくり!リンホフと言えば車でいえばロールスロイス的存在なんです。当然
私「あのWISTAは?」
と質問した。
すると渡辺さんの
渡辺「まだ、所有してるよ」
との返事、続けて
渡辺「安くしとくからさ、買わない?」
の一言
ううっ、その
「安くするという言葉」
好きなんだなあ。私はもうすでに金縛り状態でした(笑)
続いてとどめの一撃!
渡辺「支払いはいつでもいいよ」と
なんていい人なんだあ!即決で購入しますって決めてしまいました。
その後WISTA45を受け取り私のカメラになったのは言うまでもありません。
1年くらい使用しただろうか?67をメインでとりつつWISTAも使用していたのだがたまに一緒に撮影に行く渡辺さんのリンホフマスターテヒニカ45を何度もみているうちに 作りの良さや堅牢さなどすべてを兼ね備えた?(値段が高いから当たり前という話もある)このリンホフマスターテヒニカ45が無性に欲しくなり金銭を工面し購入を決意しました。 いつもカメラの購入でお世話になっている三宝カメラでいつの間にかチェックしておいたリンホフマスターテヒニカ45を 値段ん十万なりを購入してしまった。
ここでWISTAとリンホフの違いを例にあげます。 | |
・ | アオリ撮影をする際フィルム面のアオリの調整はWISTAの方がしやすい |
WISTAは大型ノブを緩めてアオリの調整をしますが、リンホフは4箇所のねじを緩めてアオリの調整をするので、慣れないとやりずらい | |
・ | レンズ面のアオリもWISTAの方が操作しやすい |
レンズ部のチルトはウィスタはダイヤルで微調整できますが、リンホフは手動でレンズボード部を動かします。 | |
・ | リンホフボディに付属している連動距離計はレンズを換えると意味がなくなる。 |
連動距離計の調整はドイツ本国に使用したいレンズを送るのですが、時間もかかる上に他のレンズを使用すると意味がなくなる。軽量モデルで 最初から連動距離計無しのタイプもあります。 | |
・ | ピントグラスがリンホフのほうがWISTAに比べ2段暗いため周辺にいくに連れて、見にくくなる。 |
これは他メーカー(エボニー、トヨフィールド、ウィスタ)のフレンネルレンズを加工して装着すれば解消する。 | |
・ | 意外にもWISTAのほうが200g重い。 |
なんだWISTAの方が安いし機能的ではないか?と思われますが、撮影している時リンホフには安心感があります。 また作りの良さという点ではリンホフの右に出るものはないと思います。 |
大判カメラは ・じっくりと構え、 ・倒立した像を見て構図を検討する ・場合によってはあおりをする ・露出を測光して絞り、シャッター速度をセットする ・フィルムをセットする ・そして空レリーズをして、撮影動作にはいる。 1枚の撮影をするためとはいえ、これだけの撮影動作を楽しめるのが大判カメラの醍醐味です。 以下に欠点・長所を述べたいと思います。
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1.あおりが使用できる。 | これが一番の魅力だと思いますが近景に花、遠景に富士などの場合にあおりを使用することにより被写界深度を調節できる為パンフォーカス撮影が出来る。 |
2.フィルムサイズが大きい。 | 6×7は6センチ×7センチなのに対し、4×5は10センチ×12.5センチとカビネ判並に大きいのでライトボックス上でルーペを使用する必要がない。 |
3.レンズが軽量でコンパクトである。 | ペンタックス67用のレンズに比べて4×5用のレンズは小さい (注意:全てがそうではない) |
4.現像時の増減ができる。 | 4×5は主にホルダーを使用するのですが、基本的には同じ露出で表裏撮影するので一枚だけで、現像後の確認で原画の明暗を判断し残り1枚に対して現像の増減をする事ができるため失敗が少ない。 |
5.撮影の手間が面白い。 | これについては経験しないとわからないと思いますが、プログラムAE等のオート撮影で撮影せず露出計を使用して任意の露出で撮影できる魅力です。ペンタックス67でも撮影の手間はあるのですが更に4×5はシャッターを押すまでの儀式(準備)があります。 これが一枚一枚ですが撮影しているなと感じさせてくれるのです。 |
1.フィルム装てんが面倒である | 暗箱(ダークバック)などを利用してフィルムホルダーにフィルムを装てんするのが面倒である。(慣れるのに時間を要する) |
2.光線漏れの恐れがある | 撮影するときにボディにしっかりセットしたつもりでも、稀にフィルムに光が入射することがあるので注意しなければならない。 |
3.品質管理がシビアである | フィルムホルダー内にフィルムを挿入した時点でフィルムの酸化は始まっているので撮影しないときは密封し冷暗所で保存したほうが良い。 |
4.連写がほぼ厳しい。 | 私の場合フィルムホルダーを使用しているので連写は難しいがクイックチェンジャーを使用すれば連写は可能である。 |
5.フィルム代が高い。 | 私の場合ホルダーを使用しているがこれでも現像代を込みにすると1枚500円くらいである。しかしクイックチェンジャの場合もっと高い。 |
私自身の失敗談をあげますと
1 | 決め込んだ露出で撮影したカットがアンダーだった。 単体露出計で測光した場所がいけなかった。このような失敗を繰り返すことで色々な露出シーンに対応できようになる。 |
2 | カメラボディーにシートフィルムホルダーを入れた時フィルムに光が入ってしまった。 これはしっかりとフィルムホルダーがボディーに納まりきっていないために起こります。 |
3 | カメラボディに一度フィルムホルダーを挿入してしまうと構図などの再確認ができません。 朝焼けの一番いいときに構図確認などしていられないので、あらかじめ決めておいた構図でシャッターを切ったら朝焼けの入る位置が中途半端だった。 |
4 | フィルムの保管状態が悪かったためフィルムが駄目になってしまった。 これは夏などの暑い時期、車の中などは異常に暑くなります。いつものように撮影して現像したらなんと色かぶりして使い物にならなかったことがあります。 以後は保管は冷蔵庫に車中は日の当たらない場所に保管するよう心がけています。 |
Q 大判カメラで撮影するとき、1被写体でのフィルム使用は基本的にワンカットだけなのでしょうか?
A
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Q シノゴって現像代金かかりませんか?
A
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Q 他メーカーのブローニーフィルム用ホルダーの互換性ありますか?
私は9月に都内デパートの「世界の中古カメラ市」の催しで、新品同様の69ホルダーを税込み\39400円で購入しました。 新品で買うと5万円近くしますので、少しは安く買えました。中古の相場並で購入できたのかなと思っております。メーカーは他にウィスタからでている ホルダーでも大丈夫です。ただこれもリンホフ規格のもの(4×5タイプ)を選ばなければなりません。
またリンホフ純正の6×9ホルダーや6×7ホルダーがありますが、これはとても高くて買えません。中古でも8万円くらいしたかな?
Q
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カットシートホルダー(以下ホルダー)にフィルムを入れるとき、皆さんどのようにして装填していますか? ここでは私の装填法を紹介します。
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1.ホルダーの引き蓋を写真の場所まで引きます。フィルムはホルダーの2段になっている下の方に入ります。もし誤って 引き蓋溝の段に入れてしまうと、引き蓋がホルダーにしっかりと入っても撮影時トラブルになりますので注意してください。 |
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2.次に指で段を確認しながらフィルムをホルダーに装填します。その際フィルム面に手の指紋などつけないよう注意してください。 また装填する前にはブロワーなどを使用してゴミなどを取り除いてください。 |
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3.後で現像時の増感、減感の指定がしやすいよう、撮影後は撮影データを記入するようにします。
ホルダーには、撮影日、使用レンズ、絞り、シャッター速度、時間などを鉛筆で記入します。 |
![]() ・マルチコートのしてあるレンズを購入するようしている。
古いタイプはマルチコートがほとんどされてません。現在のはすべてマルチコートがしてあるので色再現が違います。
つまりノンマルチコートタイプはモノクロの特性に合わせて造られておりマルチコートタイプはカラーフィルムの
特性に合わせて設計されている。 ・パルシャッター製のレンズを購入するようにしている。
ドイツ製レンズなどは現在は日本製のコパルシャッターを使用していますが、古いタイプはコンパー(compar)を使用している。つまり
コンパー製シャッターは、聞いた話ですが日本の気候に合わず、湿気などに弱くシャッターに粘りがでやすいようです。 ・シャッターをひととおり切ってみる。 低速から高速まで切ってみて、異常がないか調べる。これは音を聞いたり動作をみればわかります。特に低速に粘りがないか何回もきってみる。またBとTにしたときちゃんと作動するかどうか。 ・レンズ内のごみやカビ、キズがないかどうかなどです。 前玉にごみがある程度は大丈夫ですが、後ろ玉の傷、ゴミなどは焦点面に近いので注意した方がいいです。
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